【地震大国日本】災害・緊急時のガスインフラの対応を知っていますか?

災害の多い日本において、地震など大規模な災害が発生したとき、ガスインフラを安心安全に使い続けられるかどうかは大切な課題です。
都市ガスの供給範囲では一体どのような災害対策が取られているのでしょうか?

東京ガスを始めとするガス会社や、日本ガス協会の取り組みを調べてみました。

地震対策は3本柱

都市ガスの地震対策は、以下の3つが柱になっています。

地震対策3つの柱
①設備対策…地震に強いガス管の導入
②緊急対策…地震規模に応じたガス供給の停止
③復旧対策…全国のガス事業者が復旧対応を応援

それぞれ細かく見ていきましょう。

①設備対策

まずは設備対策です。
都市ガスの供給網であるガス管は、ここ20年ほどの間でポリエチレン管の使用率が大幅アップしています。
※2002年には43.6千kmの導入実績でしたが、2018年には104.9千kmものガス管が、ポリエチレン製に切り替わっています。

ポリエチレン製ガス管の特徴

ポリエチレン製のガス管には、以下のような特徴があります。

ポリエチレン管の特徴
・伸びやすい(延性がある)
・強度がある

力が加わると伸びたり曲がったりする性質があるので、強い揺れにさらされても、管が断絶することがないんですね。

ちなみに、ポリエチレン製ガス管を敷設するときには、電流の力で管同士を熱着しています。


(黒い点々が電熱線です)

ビスなどを使用しないので、劣化が遅く、結果的に何度も道路を掘って取り替えなくてもよくなるんです。

②緊急対策

万が一地震が発生したときには、地震の規模に応じてガスの供給を調整し、二次災害につながることを防止しています。

家庭用マイコンメーターが自動停止

最も身近なものとして挙げられるのが、ガスのマイコンメーターです。
震度5相当の揺れを感知すると、マイコンメーターが自動的に停止し、ガスの供給が止まります。
復旧作業は各家庭でできるので、状況が落ち着いたら、マイコンメーターを操作してガス供給を再開してください。

復旧方法
・周囲の状況が落ち着いたら、ガス臭がしていないことを確認する
・屋内、屋外すべてのガス機器の電源を切る
・マイコンメーターの左上についている「復帰ボタン」のキャップを左に回す
・復帰ボタンを奥までしっかり押し、表示ランプが点灯(赤色)したらゆっくり手を離す
・復帰ボタンのキャップを元に戻す
・3分間放置する
・赤い表示ランプの点滅が消えていれば、復旧完了

マイコンメーターは、地震の他にも、多重のガス漏れやガス圧の低下などで停止するように設計されています。

地区ガバナ(整圧器)を細かく配置し、供給エリアを分割

注意深く観察しながら街を歩いていると、地区ガバナ(整圧器)を見つけることができます。

これは、ガス管を通ってきたガスの圧力を、家庭用に低圧に調整する施設です。
(フェンスに囲まれ、東京ガスのロゴが書いてあります)

地区ガバナを一定の範囲ごとに配置することで、緊急時にガスの供給が危険な場所を細かく指定し、ガス供給をストップすることができるのです。

③復旧対策

災害は、発生直後ももちろんですが、復旧段階でも多くの労力が必要となります。
被災地のガス事業者は、被災者でもありますから、復旧には圧倒的にマンパワーが足りなくなるのです。

そのような場合、全国のガス事業者が、ガス復旧の応援に向かう体制が取られています。
困ったときはお互い様。いち早いガス復旧のため業界で一致団結するんですね。

過去の災害を例に挙げ、復旧にあたった人数を挙げると、

・阪神淡路大震災(1995年)…約9,700人
・東日本大震災(2011年)…約4,600人
・熊本地震(2016年)…約4,600人
・大阪北部地震(2018年)…約5,100人

となります。

これだけのマンパワーが被災地に集結し、数十万戸のガス復旧が実現したそうです。

まとめ

災害は、普段の備え・災害直後の緊急対応・災害後の速やかな復旧の3つが正しく機能しているから乗り越えられるものだと分かりますね。
家庭でできることとして、マイコンメーターの操作方法をおさえておいたり、ガス警報器を設置することもできます。
また、ガスの法定点検を定期的に受けておくことも、万が一の災害時の備えになるでしょう。

日本は年々災害が激甚化しています。
安心・安全にガスを使えるように、事業者と生活者が一体になることが大切なんですね。

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