寒い地域やマンションに多い【屋内式給湯器】の特徴と使用する際の注意点
暖かい地域や、冬場の冷え込みが厳しくない地域では、
通常給湯器は屋外に設置されています。
しかし、北海道のような寒さの厳しい地域では、
給湯器の凍結を防ぐ目的で、屋内に給湯器を置くのが一般的です。
また、土地の広さが限られている賃貸物件や業務用の現場では、
屋内式給湯器が設置されることも珍しくありません。
今回は、屋内式給湯器と屋外式給湯器の違いから、
屋内式給湯器の特徴を解説します。
目次
屋内式給湯器と屋外式給湯器は何が違う?
屋内式給湯器と屋外式給湯器の違いは、その名の通り、設置場所の違いです。
屋外式給湯器が、家の外側の壁に掛けたり、地面に設置したりして使用するのに対し、
屋内式給湯器は、屋内の壁に掛けて設置します。
屋外設置型の給湯器に慣れている方が初めて屋内式を目にすると
結構、存在感があるので驚いてしまうかもしれませんが、
屋外式給湯器と使い勝手は変わりません。
屋内式給湯器の給排気の仕組み
屋内式給湯器には、給排気の仕組みが2種類あります。
それがFE式(強制排気)とFF式(強制給排気)と呼ばれるものです。
リンナイ様から画像をお借りしました。
FE式(強制排気)の仕組み
FE式とは、強制排気式のことを指します。
給湯器は燃焼のために空気を必要としますが、
FE式では、燃焼に必要な空気を室内から取り込み、
排気ガスのみをファンで屋外へ吐き出すシステムです。
古くなったFE式給湯器は不完全燃焼を起こすおそれがあり、
一酸化炭素中毒の危険性があります。
そのため、屋外式給湯器や、
安全装置付きの屋内式給湯器への交換を推奨しているメーカーもあります。
FF式(強制給排気)の仕組み
一方、FF式とは、強制給排気式という意味です。
給湯器に搭載されたファンが、
燃焼に必要な空気を取り込み、また、排気ガスも屋外に排出します。
給気も排気も屋外という意味から、強制給排気という名前になっているのですね。
FE式とFF式、2種類のうち、主流はFF式です。
屋内式給湯器の設置基準
給湯器には、機器を設置するにあたって設置基準が設けられています。
ガス給湯器の運転を妨げず、また人や周囲の環境に悪影響を及ぼさないための基準です。
給湯器本体からの離隔距離
上の図のように、給湯器の周囲・数10cmの範囲に
可燃物を置かないよう決められています。
給湯器の周辺に、自転車や子供のおもちゃ・ベビーカー、植栽を
置く人が多いようですが、危険ですのでやめてくださいね。
排気吹出口からの離隔距離
次に、排気口と障害物の離隔距離について見ていきましょう。
- 上方 排気口から300mm
- 下方 排気口から150mm
- 前方 600mm
- 側方 150mm
排気口をモノでふさいでしまうと、給湯器から発生した排気ガスがうまく排出できず、
室内に一酸化炭素が充満する危険性があります。
排気口付近にもモノを置かないよう注意してください。
また、離隔距離内に窓があると、
そこから排気が室内に侵入してしまいます。
建物の開口部も、離隔距離に基づき給湯器との位置が定められています。
排気筒の設置基準
屋内式給湯器は、給湯器の運転で発生した排気を、排気筒を使うことで屋外に排出します。
排気筒にも設置基準がありますので、注意が必要です。
排気筒の機器からの立ち上がり部を1m以内に抑える
排気筒を横に延長する場合には1/50の勾配をつける
排気筒を通って給湯器内に水分が侵入しないためにも、
勾配をつけて設置することを忘れてはいけません。
屋内式給湯器を使うとき気をつけたいこと
屋外式給湯器とは違う特徴の多い屋内式給湯器ですが、
使用時に注意したい点をご紹介します。
給気口を防がない
屋内式給湯器の場合、排気筒の断面積以上の給気口が設置されています。
給気口の近くにモノを置くなど、給気の妨げになるようなことは避けましょう。
また、ホコリが溜まりやすく、気がつくと給気口にホコリがびっしりということもあります。
こまめに雑巾がけし、清潔な状態を保ってください。
配管に触らない
屋内に露出した配管がある場合は、触らないようにしてください。
給湯器が作動しているうちは排気筒が熱を帯びるので、火傷の危険性があります。
洗濯物(タオルなど)を干したり、装飾品をぶら下げたり、
植栽などの燃えやすいものを置くのもご法度です。
火災につながる可能性があります。
積雪による排気口のふさがりに注意
積雪する地域では、雪によって排気口がふさがれてしまうことがあります。
一酸化炭素中毒や火災につながるおそれがあるため、
雪が多い日には、こまめな除雪を心がけましょう。
古いFE式給湯器は交換検討を!
古いFE式給湯器は、不完全燃焼や一酸化炭素中毒の危険性があります。
お使いの給湯器がFE式で、年数の経っているもの(10年以上など)であれば、
屋外式給湯器もしくは安全装置付きの給湯器に交換することをおすすめします。
まとめ
屋内式給湯器は見た目の悪さや圧迫感を除けば、
音も大したことはないので、
特に不自由することなく使用することができます。
ルールを守り、万が一の事故につながることがないようにしましょう!