リンナイから水素100%燃焼の給湯器が発売!
水素を主なエネルギーとする「水素社会」が、段々と実現してきています。そんな中、100%水素をエネルギーとして動く給湯器が、給湯器メーカー大手のリンナイから発売されました!
<リンナイ公式HPより>
今回のブログでは、次世代の給湯器である水素型給湯器について、その特長や普及への課題について解説します。
目次
二酸化炭素が発生しない水素型給湯器
水素をエネルギーにして動く水素型給湯器の大きな特長は、二酸化炭素を排出しないという点です。
日本全体で排出される二酸化炭素のうち、1.5%は給湯器から排出されることが、リンナイが開発に乗り出した理由だそうです。
開発がスタートしたからといって、すぐに水素型給湯器が完成するわけではありません。「逆火」という現象により、配管の中を火が逆流することがあるのです。こうした現象が引き金になり、爆発事故を起こす可能性があるため、安全性の確保は絶対条件です。危険性のない給湯器を作るため、バーナー部分を金属板にしたり、パイプを短くしたりと、試行錯誤が繰り返されました。
そうしてようやく完成した水素型給湯器が、2022年7月、オーストラリアで販売開始しました!
ここで「あれ?日本では未発売なの?」と思った方もいらっしゃると思います。実は、水素型給湯器は当面の間、海外での販売に限られているのです(日本での販売時期は未定)。
日本の会社なのになぜ?と思われるかもしれませんが、そこには日本特有の課題がありました。
水素の供給網が未発達の日本
水素カーや水素バスなど、少しずつ水素社会が実現してきたとはいえ、私たちの生活で使うエネルギーの主役はまだまだ「電気・ガス・石油」などです。よく考えてみると、私たちの周りに「水素で動いているもの」をすぐに思い浮かべることは難しいですよね?
例えば、水素カー向けの「水素ステーション」の数を挙げてみると、2022年9月時点で全国に162箇所です。経済産業省は2027年までに水素ステーションの数を500基程度まで増やす計画を掲げていますが、水素ステーションを1ヶ所設置するのに必要な費用は約4億円と試算されており、残りの約330基を設置するには1,300億円以上の経費がかかります。
しかも、これは水素カーの水素補給場所に限った話です。私たちの生活に必要なあらゆる機械が水素で動くようになったとしても、肝心の水素を届けるインフラが未整備では、宝の持ち腐れになってしまいます。
水素を私たちの生活の基盤にするには、まだまだインフラが整っていないというのが現状でしょう。
一方、水素型給湯器が発売されたオーストラリアはどうでしょう。オーストラリアでは、世界的な脱炭素の動き、一部地域でのガス価格の高騰、そして水素輸出国を目指すという目標などから、水素利用の普及に積極的に取り組んでいます。積極的な投資の受け入れなどにより、日本よりもインフラ整備が進んでいるのです。水素型給湯器の販売網として、リンナイが目をつけたのも頷けますね。
水素のインフラ整備に乗り出す企業
水素の普及において遅れをとっている日本ですが、水素実用化に向けた動きは少しずつ加速しています。
愛知県に本拠地を置く、大手ガス会社の東邦ガスは、既存のガス設備をそのまま利用して、各家庭や施設に水素を運ぶ仕組みを構築しようとしています。すでにあるガス菅等を活用できるとあれば、大幅なコスト削減が可能になります。また、ガスの供給網はかなり発達しているので、そこに相乗りする形を取れば、一気に水素の供給網が拡大することになるでしょう。
さらに、再来年の2024年には水素ボンベの稼働を視野に入れているらしいので、日本の水素社会実現に向けて期待が高まっています。
まとめ
「水素社会」という言葉は何となく聞いたことはあっても、給湯器が水素で動く時代が来るとは思ってもみませんでした。これからは「電気・ガス・石油」から「電気・ガス・水素」がエネルギーの中心になっていくのかもしれません。日本での実用化が早く進むことに期待しましょう!