PS(パイプスペース)の給湯器、特徴や注意点はあるの?

マンションにお住まいの方は、玄関先に
PS(パイプスペース/パイプシャフト)がありますよね。

PS=水道やガスの配管スペースのことを指しますが、
給湯器も一緒に設置されています。

PSに設置された給湯器の交換や
取扱上の注意点をまとめてみました。

PSの給湯器設置方法は2種類ある

PSに給湯器を設置する場合、2種類のタイプに分かれます。
それが扉内設置タイプ標準設置タイプです。

扉内設置タイプ


PSに設置された給湯器に鋼鉄製の扉などをつけ、
給湯器が見えないようになっているタイプです。

メリットとしては、

・外観がいい
・給湯器に汚れがつきにくい

の2点が挙げられます。

標準設置タイプ


扉がなく、
給湯器が外から見えている状態です。

メリットとしては、

・給湯器の掃除がしやすい
・排気がPS内に滞留しないので、給湯器の不完全燃焼を避けられる

といったことが挙げられます。

扉内設置タイプと標準設置タイプはどう違う?

ご紹介した2つのタイプの設置方法は、
どのような使い分けがされているのでしょうか?

階段からの距離

ひとつの大きな基準になるのが、階段とPSの距離です。

ガス機器の設置基準では、
階段(屋外避難階段など)から周囲2mの範囲は扉内設置タイプを
設置すること
になっています。

安全上の観点から、階段から2m以内は、
扉のついていない標準設置タイプは設置不可なのです。

階段の形状や状況によって様々な設置例がありますが、
「2m内は扉つき」を目安としてください。

外観重視で扉内設置タイプになることも

ただし、最近のマンションでは外観を良くするため
階段付近でなくても
扉内設置タイプを採用することも多いです。

確かに、マンションを外から見て
玄関脇の給湯器の部分だけ浮いて見えるよりは
統一された扉の色が並んでいる方が見た目はいいですよね。

ひとつ注意してもらいたいことがあります。
従来の設置方法を変更したい場合には、
マンションの管理組合や消防署に相談・報告する必要があります。
居住者の希望だけで決められないので、注意してくださいね。

PSの給湯器を交換するときの注意点

サイズ選びが重要

屋外の壁に掛けたり、地面に設置するタイプの給湯器と違い、
PSにはスペースの問題が付いて回ります。

PSの縦幅・横幅・奥行きは決まっていますので、
そのサイズを超す大きな給湯器はもちろん入りません。

また、現在設置されている給湯器より
更に小さな給湯器にサイズダウンする場合には
空いたスペースを埋めるアダプターと呼ばれる部品を
別途用意し、補強する必要があります。

新しく給湯器を取付けるときには、
取付枠と給湯器が合っているか、
事前のチェックが欠かせません。

交換時に気をつけていること

私たち交換業者が施工の際に気をつけていることがあります。

高い位置かつ奥行きがあるのが大変

PSの位置まで給湯器を持ち上げる必要があるので、
給湯器を落とさないよう細心の注意が必要です。

また、PSは壁に対して凹んだ形状なので、
奥行き分、給湯器を持ち上げた状態で
PS内に向かって格納しなくてはいけません。

とても神経を使う場面です。

扉と給湯器の位置や形状をしっかり合わせる

扉内設置タイプは給湯器の排気口に合わせて穴が開いています。
扉に開いた穴と、給湯器の排気口の位置・サイズが合っていないと、
排ガスが屋外に排出されずPS内に滞留してしまいます。

また、扉と給湯器の位置が近すぎると、正常に給気ができません。

このように、給湯器の動きを妨げる要因が多いと、
不完全燃焼や一酸化炭素中毒などの事故に
つながりかねないので、注意が必要です。

普段から気をつけること

生活する側にとってみれば、
PS内に給湯器があっても、
屋外(ベランダなど)に給湯器があっても、
それほど違いは感じられないことでしょう。

PS設置タイプの給湯器には
特別気をつけることはあるのでしょうか?

PS内にものを置かない


傘、レジャー用品、日常的には使わない季節もの、
使わなくなったものや子どものオモチャなどを
PS内に置くのはやめましょう。

給湯器だけでなく、他の配管や器具を
壊してしまう可能性があります。

また、可燃物が給湯器の排気によって燃え、
火災につながる危険性も!

定期的に中の様子を確認・掃除する

扉内設置タイプであっても、案外PS内は汚れています。
黒くて細かいホコリやゴミ、
古い給湯器のはがれた塗装などです。

年末の大掃除のついででも構わないので、
定期的に中をのぞいてみましょう。
気になる汚れがあれば、
できる範囲で構わないので除去しておいたほうが安心です。

標準設置タイプは給湯器が露出しており、
汚れも目立ちやすいです。
きれいにしておいた方が防犯上もいいと思います。

まとめ

普段の生活の中で、
PS内を見ることはほとんどないかもしれません。

「そういえばPSを物置きにしていた・・・」
「しばらく中を見てないな・・・」

という方がいらっしゃったら、
この機会に中を点検してみましょう。

思っていた以上に汚れていたり、
不要品で埋まっているかもしれません!
危険な事故につながる前に整理してみてくださいね。

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