給湯器の排気カバーをつける3つのメリット
給湯器の排気カバーをご存知ですか?
見覚えも、聞き覚えもなかなかないものかもしれませんね。
あまり馴染みのない給湯器の排気カバーについて、役割と設置メリットをご紹介します。
目次
給湯器の排気カバーの役割
排気カバーとは?
普通、給湯器は白っぽい本体だけが設置されています。
ですが、注意深く見ていると、給湯器本体の上部(排気口)に、銀色の箱のようなものが取り付けられていることがあります。
赤い丸で囲んだ部分がが「排気カバー」です。
なぜ排気カバーを取り付けるの?
給湯器の排気口近くに窓や可燃物(植栽や日用品など)、ブロック塀などの障害物があると、給湯器の不完全燃焼や火災事故につながることがあります。
こういったリスクを避けるため、給湯器の設置基準では、給湯器の周りの下記範囲内に物がない状態で設置するよう決められています。
例えば、次の写真を見てもらうと、給湯器の排気口にかなり近い所に植え木があります。
給湯器の排気温度は、エコジョーズなどの最新のものであれば50度〜80度、古いものであれば200度くらいです。
万が一、火災につながらないともいえません。植栽や塀など、すぐに移設できないものが給湯器の近くにある場合は、排気カバーを取り付けましょう。
また、マンションの玄関前アルコーブのPSに給湯器がある場合、排気方向を廊下側に変えるためにつける排気カバーもあります。
給湯器の排気カバーの種類
排気カバーにはいくつかの種類があります。
上方排気カバー
給湯器からの排気を上部に逃がすタイプです。価格も安く、排気方向を変えるには十分です。
一方で、排気カバー内に葉っぱなどのゴミが溜まりやすいという欠点があります。
側方排気カバー
排気を側方に逃がすタイプです。給湯器本体の真上に窓がある場合などは、側方排気カバーを使用します。
現場の状況によっては、片方の排気口を閉じて片側排気にすることができます。
上方排気カバーに比べると値段が高いのがデメリットです。
延長型カバー
給湯器に長い筒状の排気パイプをつけ、離れた場所から排気させるタイプです。
狭いベランダなどで、排気が充満しないように取り付けます。安全面の理由から取り付けられますが、外観はあまりよくありません。
排気カバーをつける3つのメリット
火災などの事故を防ぐことができる
排気口の近くに可燃物があると、排気の熱により火災につながることがあります。
排気カバーで排気の向きを変えることで、火災を防ぐことにつながるんですね。
他にも、排気方向を変えることで室内にガス臭い排気の侵入をブロックし、一酸化炭素中毒を避ける効果もあります。
給湯器が壊れにくくなる
給湯器の排気口を風雨から守ることで、給湯器内部の故障や腐食を防ぐことができます。
また、給湯器と向かいの壁が近いと、給湯器からの排気を再び給気することがあります。排気ガス中には水蒸気が含まれているので、給気されたガスで給湯器内部が腐食してしまう危険性があるんです。
排気カバーをつけることで、こういったトラブルを避け、給湯器の寿命を延ばすことが期待できます。
ご近所トラブルを防ぐことができる
自宅と隣家の間隔が狭く、給湯器の排気が隣家の塀や壁、家財に至近距離からあたってしまうことがあります。
排気の熱やガス臭などにクレームがくることがありますので、ご近所トラブルを防ぐためにも排気カバーは有効です。
排気カバーがなくて起こったトラブル例
排気カバーをつけずに給湯器を使用して起こったトラブルについて、いくつか事例をご紹介します
隣の家から苦情がきた
自宅を建て替え、新たな場所に給湯器を設置した結果、隣家との距離が近く、クレームに発展したというケースです。
自宅と隣家の間隔は、基準を満たす十分な距離があったようですが、「排気が気になる」「車に排気があたっている」と主張されるばかり。ご近所とのお付き合いはデリケートな要素もありますので、事前の話し合いや配慮が大切です。
基準を満たせばOK、という考え方もありますが、今後のことを考えて排気カバーをつけるという選択肢も考えておきましょう。
向かいの壁が錆びた
排気口の向かいにある壁が、排気の熱や湿気で錆びてしまうケースもあります。アルミ、鉄、塗料など、割と簡単にサビが発生してしまうんですよね。
生活上のことなので仕方ないと納得できることもありますが、気になる方は排気カバーを取り付けましょう。
まとめ
給湯器の排気カバーは、普段注目することは少ないですが、大切な仕事を担っているんですね。
排気カバーを取り付けるか迷った際には、思わぬ事態を回避するため、工務店・業者に確認した方が安全です。
また、排気カバーの取り付け自体は、説明書を見ながら自分で設置することも可能ですが、給湯器の作動環境との兼ね合いがあるので、プロにお願いするのがおすすめですよ。