【素朴な疑問】ガスってそもそも何からできているの?
普段、何の疑問もなく使っているガスですが、
ガスが何からできているかご存知ですか?
また、原料からどのようにガスを生成し、私たちの家まで届けているのでしょうか?
知っているようで知らない、ガスの原料と生成方法をまとめました!
目次
ガスの原料・LNG(液化天然ガス)とは?
ガスの原料になるものは大きく分けて2つあります。
LNG(液化天然ガス)とLPガス(液化石油ガス)の2つです。
前者は都市ガスの原料、後者はプロパンガスの原料になります。
この記事では、都市ガスの原料・天然ガスについて解説しますね。
都市ガスの原料・LNGの特長
天然ガスという言葉は、たまにニュースなどで聞きますよね。
天然ガス(気体)を液化したものがLNG(液化天然ガス)なのですが、
実は、日本がLNGを導入して早40年以上の歴史があります。
その特長としては、
輸送効率の良さ、環境負荷の小ささ、安定供給性の高さが挙げられます。
輸送効率が良い!
LNGの主成分はメタンですが、メタンは超低温(-162℃)まで冷却すると液体になります。
気体の状態に比べ、液体の体積は600分の1にまでなるため、
大型タンカーで一度に大量の液化ガスを運ぶことができるのです。
パイプラインではガスを輸送できない地域でも、船などでガスを運ぶことができます。
環境負荷が小さい!
LNGには、SOx(硫黄酸化物)などの有害物質が含まれていません。
また、燃焼させた際の二酸化炭素の発生量も、石炭や石油に比べると少ないため、
環境負荷の小さいクリーンエネルギーといえます。
埋蔵量が多い!
天然ガスは世界各地に大量に埋蔵されています。
原料を安定して調達できるかどうかは、ガスの安定供給に直結する問題です。
埋蔵量の多い天然ガスを利用したガス供給システムは
私たちの生活を支える大切なものだと感じますね。
ちなみに、天然ガスは太古の昔に死んだプランクトンや魚の死骸が、
1億年以上もの長い時間、地球の熱と圧力を受けて発生するものだそうです。
スケールが大きすぎてピンときませんが、
天然ガスは、人間の力では生み出すことができないものと言われています。
ガスはどのように作られるの?
上述した通り、日本に持ち込まれるLNGは液化した状態です。
大きな貯蔵タンクに貯められたLNGに海水をかけて気化させ、
熱量を調整し、ガスを製造しているそうです。
<LNGは安定した状態で貯蔵されています>
イメージはドライアイスに水をかけたときの様子。
超低温のLNGに海水をかけると、LNGは一瞬で気化します。
気化したLNGにLPG(液化石油ガス)などのガスを混ぜ、熱量を調整したのち、
ガス臭をつければ都市ガスの完成です。
製造されたガスが家庭に届くまで
気化したLNGは、都市ガスとなり、
パイプラインを通って消費地(家庭など)まで送られます。
製造工場で作られたガスは、一旦製圧器に送られ、圧の調整がされます。
この時点では高圧→中圧程度に製圧されているのですが、
製圧されたガスはガスホルダーに貯められ、大きな施設(工場、病院など)に送られるのです。
<ガスホルダーのイメージ>
そこから更に製圧器で中圧→低圧にされたガスは、
一般家庭に送られ、私たちが使うことができるという流れになっています。
<地域の整圧器のイメージ>
町を歩いているとき、よく観察していると、見つけることができますよ。
LNG由来のガスは、エネルギー変換が必要ないため、
輸送によるロスが発生しない点にも注目したいですね。
新しいエネルギー資源として期待されるもの
LNGの次に、エネルギー源として注目されているのが
「シェールガス」「メタンハイドレート」です。
シェールガス
シェールガスとは、シェールという岩の層の中にあるメタンガスのことです。
アメリカ主導でシェールガスを安全に取り出す方法が確立され、
値段もLNGを下回ることから、次世代のエネルギー源として期待されています。
2018年5月に、アメリカからのシェールガス由来LNG輸入を開始した日本。
いつか、日本のガスがシェールガスをメインに作られる日がくるかもしれません。
メタンハイドレード
日本は石油などの天然資源が採れない国というイメージがありますが、
実は大きなエネルギー資源が眠っていることをご存知ですか?
その名も「メタンハイドレード」という、氷のような見た目の物質です。
(燃える氷とも呼ばれています)
永久凍土や水深500メートルより深い海底に存在し、
日本では十勝沖、四国沖、南海トラフなどに多く埋蔵しているそうです。
そのガス量は、日本のガス使用量の100年分に匹敵するとか!
エネルギー資源のほとんどを輸入に頼る日本にとって、
メタンハイドレートの活用は
安定的なガスの供給、コストカットに大きく貢献してくれるはずです。
ガスの原料の移り変わり
今度は時代を逆行することになりますが、
天然ガス以前は、何を原料としてガスを製造していたのでしょうか。
石炭時代
まず、石炭を使ってガスを生成させていた時代があります。
炉に投入した石炭を蒸し焼きにし、ガスを発生させていました。
しかし、石炭から生成できるガスの量は、
石炭の重量の20%程度であり、生産効率は決して良くなかったのです。
石油時代
石油がメインになった時代には、
石炭より多くのガスを効率よく作ることができるようになりました。
製造方法は石油と水蒸気の熱分解によるもので、作業は簡易だったものの、
ガス発生のメカニズムは複雑なものです。
その後、石油産地の政情不安などで、石油に変わるエネルギー源を活用する流れになります。
また、石油を使用した際の環境負荷が大きかったことも、時代に合わない理由になっていったのでしょう。
次第に天然ガスをメインにしたガス製造の時代に移り変わっていったのです。
まとめ
ガスの製造方法について改めて調べてみると、
「ガスの安定供給」のため、多くの人が試行錯誤してきて、
今の生活があることを思い知らされます。
電気など他のエネルギーももちろんですが、
普段の生活でガスを大切に使っていこうと背筋が伸びる思いです。
そして、東京ガスをはじめとするガス各社が、
ガスについて詳しく・簡単に解説するため様々な工夫をこらしていることに感動しました。
インターネット上でも漫画や動画を使って楽しくガスについて学ぶことができますし、
かなりの情報を知ることができます。
東京ガスが運営するガスミュージアム がす資料館でも、
ガスの作り方について詳しく学ぶことができますよ!
興味のある方はぜひ行ってみてくださいね。