教えて!ガス暖房機器の上手な選び方

ガス暖房と聞いて思い浮かべるのは、どういったものですか?
ガスファンヒーターや床暖房などのメジャーなものから、
今ではガスを使ったオシャレな暖炉まで、
ガス暖房のレパートリーは年々増えてきています。

ですが、電気を使った暖房機器(エアコンなど)とガス暖房機器とどちらを選べばいいのか、
また、自分たちの生活スタイルにあった暖房機器が何なのか分からないという方も
いらっしゃると思います。

本記事では、ガス暖房の種類をご紹介すると共に、
上手なガス暖房の選び方まで解説します。

ガス暖房機器にはどういうものがあるの?

一言にガス暖房機器と言っても種類は様々です。

ガス暖房機器の一例
・ガスファンヒーター
・床暖房
・ガス赤外線ストーブ
・ガスFF暖房機
・温水マット
・温水ルームヒーター
・パネルヒーター
・ガス暖炉

メジャーなものから珍しいものまで、
多種多様な暖房があるとお分かりいただいたところで、
それぞれの暖房の特長、使い方をご紹介します。

ガスファンヒーター


ガスの暖房機器としてはメジャーなガスファンヒーター。
小型の暖房機器として、灯油や電気のヒーターもありますが、
ガスファンヒーターにはどのような特長があるのでしょうか?

ガスファンヒーターの特長

ガスファンヒーターの良さは、何といっても立ち上がりの早さです。
エアコンのように広域をじんわり温めるのではなく、
スポットで一気に室温を上げてくれます。

そのため、冬場の着替えやお風呂での脱衣など、
一時的でも暖かさがあると嬉しい場面で活躍します。

また、灯油などを使っていないため、
点火・消火時にニオイがしないのも嬉しいポイント。
加えて、ガスが燃焼する際に水蒸気が発生するため、
乾燥を防げるのも注目です。

ガスファンヒーターを使うときの注意点


ガスが燃焼すると、一酸化炭素が発生してしまいます。
必ず換気をしましょう。
目安は1時間に1〜2回、各1〜2分です。

また、開口部を洋服などで塞ぐのも危険ですので避けましょう。

広い部屋を温めたい場合には、ファンヒーターは適しません。
あくまで狭い空間、限られたスポットを温めるのに優秀な暖房機器といえます。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・着替え、脱衣所など
・世帯人数が少ない
・狭い部屋を温める
・エアコンとの併用

床暖房


ガス給湯器でお湯を作り、床下にある管にお湯を流すことで
床全体を温めるのが床暖房です。
一度使うとヤミツキになる方も多いと思います。

床暖房の特長

エアコンが上から暖風を送って部屋を温めるのに対し、
床暖房は下から暖気を送って部屋を温めます。

床だけ暖かくても意味がないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
床暖房は床と同時に天井や壁をじんわり温めていきます。
ふく射熱といわれる効果で、室温自体は低くても、十分に暖かさを感じるのです。

また、風を起こすタイプの暖房ではないため、床のゴミやホコリを舞い上げず
アレルギー体質の方にも安心して使ってもらえます。
室内に火の気がないので、お年寄りや子供、ペットがいても安心です。

床暖房を使うときの注意点


リビングの床を木製フローリング仕上げにしている場合、
床暖房のかかっている範囲にはカーペットやコタツを置かないようにしましょう。
床暖房からの暖気がこもり、フローリングにヒビや隙間が生じてしまう場合があります。

同じ原理で、床暖房の上に直接、木でできた家具等を置くのも避けましょう。
床と家具の間に板を1枚入れるなどしてください。

また、床暖房とホットカーペットの併用は厳禁です。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・室内飼育のペットがいる
・小さい子ども、お年寄りがいる
・室内を均等に温めたい

ガス赤外線ストーブ


ガスファンヒーターと似ていますが、
ガス赤外線ストーブというものがあります。

ガス赤外線ストーブの特長

ガスファンヒーターとの大きな違いは「風」を使って暖房するか否かという点です。
風が苦手という方には、赤外線ストーブの方がおすすめといえます。

灯油などを補給する必要がありませんし、
ガスの配線がいらないカセットタイプもあるので、
気軽に持ち運んでスポット暖房を利用したいときに大活躍です。

赤外線の効果で、電源を切ったあとも
しばらくは部屋が暖かいまま
なのも嬉しいですね。

ガス赤外線ストーブを使うときの注意点

他の暖房機器と同じく、換気はこまめに行ってください。
また、スポット暖房が得意な機器なので、
広域を温めるのには適していません。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・暖房特有の風が苦手
・スポット暖房を気軽に使いたい
・入眠時、暖房を切ったあとも部屋を暖かく保ちたい

ガスFF暖房機

聞き慣れない名前のガスFF暖房機は、
温風を起こす仕組みに最大の特長があります。

ガスFF暖房機の特長

ガスFF暖房機は壁に据え置きするタイプの暖房です。
壁に開けた給気口から外気を取り込み燃焼し、部屋に温風を送り込みます。

また、燃焼時に発生した排気は再び屋外に排出するため、
部屋の空気を汚しませんし、頻繁に換気する必要がありません。


<画像はリンナイ様からお借りしました>

最近の住宅は高気密化が進んでいるため、
特に換気が億劫になる冬場は、すぐに部屋の空気は淀みがちです。
FF暖房機であれば、室内の空気をきれいに保ちながら
同時に暖房することも可能なのです。

ガスFF暖房機を使うときの注意点

給排気口がつまっていたり、近くに可燃物や洗濯物が置いてあると
正常に機能しないばかりか火災のおそれもあります。
また、積雪などで給排気口が塞がれた状態にならないよう気をつけましょう。

他の小型暖房機器と違い、FF式暖房機器の取付けは
ガスの知識を持った専門業者が行わなくてはなりません。

壁に穴を開ける必要もあるので、
ご自身で作業することは避けなくてはいけませんし、
特に賃貸物件などでは勝手に部屋を改造することはできません。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・高気密住宅に住んでいる
・部屋の空気をクリーンに保ちたい

温水マット

ホットカーペットと同じ要領で使えるのが温水マットです。

温水マットの特長

温水を通すマットを床に敷き、その上からカーペット(市販品)を敷きます。
給湯器経由でお湯を湧かし、マット内に温水を通すことで温めるという仕組みです。

床を温めるという意味では床暖房と同じコンセプトですが、
カーペット式のマットを使用しているため、
床暖房と違い、大掛かりな工事が必要ありません。

給湯器とつないで専用のコンセントを設置するタイプのものと、
工事を全く必要としないボイラータイプもあります。

簡易温水マットを使うときの注意点

広範囲に渡って床を温めるものではないので、
部屋全体を温めたいという場面には適していません。

また、マット内にはパイプが通っているので、
重いものを載せたり、パイプを傷つけるようなものを置くことは避けましょう。

ボイラータイプのものは十分な暖かさになるまでに30分以上かかることもあるので、
床を即暖かくしたいという方にも向いていません。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・コストをかけず床をあたためたい
・暖房したい床の範囲を都度変えたい

温水ルームヒーター

温水ルームヒーターとは、ガスや灯油を使用して作った温水を室内に引き込み、
風を当てて温風を送り出す仕組みを持った暖房機器です。

室外機(熱源機)と室内機の2つセットになっています。

温水ルームヒーターの特長

ファンヒーターなどと違い、マイルドな温風(70℃くらい)が発生します。
そのため温風が熱で浮き上がるのを避けることができるので、
足元からじんわり部屋を温めてくれるのです。

小さいお子さんやペットがいると、
排気口近くが高熱になる暖房機器は避けたいというご家庭も多いことでしょう。
その点、温水ルームヒーターは優しく部屋を温めてくれるので、
安心感がありますよね。

また、屋外燃焼のため、屋内は水分が発生しません。
そのため室内の結露発生を抑制することができるのも良い点といえます。

温水ルームヒーターを使うときの注意点

温水ルームヒーターは室外機と室内機の2つを設置しなくてはいけません。
また、室内機は10万円近くするものもあり、導入コストがかかりがちです。

ガス式の温水ルームヒーターであれば、室外機(熱源機)を給湯器が兼ねてくれる場合があるので、
お使いの給湯器と同メーカーの温水ルームヒーターを探して、
給湯器と接続可能か調べてみてくださいね。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・小さいお子さんやペットがいる
・部屋の空気をクリーンに保ちたい
・結露を防ぎたい

パネルヒーター


パネル状のヒーターという選択肢もあります。
床暖房と同じく、ふく射熱を使ってムラなく部屋を温めることができる優れものです。

パネルヒーターの特長

床暖房は床にのみ設置できますが、
パネルヒーターは壁に沿って取り付けることができます。
また、サイズの大小も豊富なラインアップなので、
トイレの中、脱衣所の壁など、
スポットで温めたい場所に、コンパクトに設置できるのも嬉しいポイントです。

なかにはタオルを掛ける専用のパネルヒーターもあり、
いつでもほかほか暖かいタオルが使えるばかりか、
洗濯物の生乾きを防ぐこともできます。

窓の近くに設置すれば結露を抑えることもできるので、
一石二鳥・三鳥の効果を期待できます。

パネルヒーターを使うときの注意点

ガス式のパネルヒーターを使うには、専用の熱源機が必要です。
熱源のついていない給湯器では使用できないので、
事前確認を忘れないようにしましょう。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・トイレ、風呂場、脱衣所など、狭いスペースに暖房を設置したい
・風が出ないタイプの暖房を使いたい

ガス暖炉


暖炉といえば薪をくべて、火をおこして…という場面を想像しがちですが、
もっと気軽に暖炉を楽しめる、ガス暖炉があるんです!

ガス暖炉の特長

ガス暖炉は、スイッチを入れるだけで点火・消火ができます。
本物の木そっくりの擬木に、赤く色づけされた炎があがるので、
見た目は完全に暖炉そのものです。
面倒な火起こしやスス掃除は必要ありません。

もちろん暖房効果も期待できますが、
それよりも雰囲気のある外観が一番の魅力でしょう。

最近は薪ストーブが人気で、自宅に設置する方も多いでしょうが、
メンテナンスの手間を考えると、なかなか手が出ないですよね。

その点ガス暖炉は、暖炉特有の高級感や存在感はそのままに、
手間を省ける仕様になっている点が高ポイントです。

ガス暖炉を使うときの注意点

高所得者向けに作られていることもあるでしょうが、ガス暖炉は非常に高額です。
場所も取るため、それなりの広さがある部屋でないと圧迫感が出てしまいます。

お部屋のインテリアコーディネート上、違和感がないかどうか
しっかり検討してから導入してください。

こんな場面で使うのがおすすめ!

・雰囲気重視、高級感のある部屋作りがしたい
・メンテナンスを省きつつ、憧れの暖炉を使いたい

まとめ

様々なガス暖房機器を紹介してきましたが、いかがでしたか?
思ったよりたくさんの種類があることに驚かれたのではないでしょうか。

暖房といえばエアコン、床暖房、ヒーターくらいかな?と思いがちですが、
少し探してみるだけで、たくさんの選択肢があることに気づきます。

ガスのパワフルな暖房効果を
もっと活用してみるのはいかがでしょうか。

一人暮らし、子育て世代、ペットがいる、高齢者がいるなど、
それぞれの生活スタイルや生活水準に合わせ、
暖房機器のあり方も柔軟に変えていくのが良いのではないでしょうか。

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