東南アジアのコロナ禍の余波が、日本の給湯器業界を直撃!
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。
最近では新種のオミクロン株が感染の中心となり、予断を許さない状況が続いていますね。
今、コロナ禍の悪影響が、日本の給湯器業界を直撃しています。
1年ほど前は、コロナ禍による人との接触回避の流れから、給湯器交換を見送るお客様が多く、
一時的に給湯器業界全体が業績不振となりました。
2021年現在は、また違った意味でのピンチが訪れています。
それが「コロナ禍によるロックダウン(もしくは生産力低下)により、給湯器の製造ができず、日本に給湯器が入ってこない」という状態です。
グローバル展開がもたらした、給湯器業界の現状についてお知らせします。
目次
コロナ禍により、海外の工場が軒並みロックダウン・生産力低下
給湯器は、様々な国で作られる部品により成り立っています。
ベトナム、インドネシア、タイといった東南アジアを中心に、各給湯器メーカーは海外に生産拠点を置いて、生産体制は分散化されています。
コスト面、リスク分散の点からも海外に工場がある利点は多いのですが、今、コロナ禍によるロックダウンにより、海外の工場がどんどん稼働停止しているのです。
小さな半導体ひとつ欠けても、給湯器を作ることはできません。
最初に一部の部品が作れず給湯器の生産量落ち込んだあと、ばたばたと他の部品の製造もできなくなり、
日本に入ってくる給湯器の量が激減しています。
ここで、給湯器や関連部材の生産工場が多くある東南アジア各国に関する情報をまとめてみました(2021年12月現在)。
ベトナム
給湯器だけでなく、自動車など様々な企業が工場を置くベトナム。
2021年夏の記録的なコロナ拡大が一旦収束したのち、12月に入って再びコロナの感染爆発が起こっています。
1日の感染者数が1.5万人〜2万人、死者は3万人を超えています。
政府は危機レベルを4段階中2段階目に高い「レベル3」まで引き上げましたが、
今後の感染状況によっては「レベル4」(=隔離、交通規制など)になる可能性も。
工場の稼働停止が相次ぎ、日本への供給網に大打撃を与えています。
都市部で働く工場労働者が感染回避のため一時帰省するなど、
もし工場が稼働しても、すぐにもとの生産レベルに戻れるか疑問です。
タイ
タイでは、1日あたりの新規感染者数が3,000人〜5,000人で推移しています。
ワクチン接種も進み、夏に比べて感染者数は減少傾向であるものの、オミクロン株への対応が強化されています。
隔離なしでの入国を一旦停止、オミクロン株感染が確認されたシンガポールやマレーシア間との規制を強化するなど、水際対策に力を入れているようです。
ロックダウンなどの強い規制はなく、オミクロン株の感染拡大をなんとか防いで経済を回していきたい意向が伺えますが、
労働者不足が深刻な問題として持ち上がっています。
もともと、タイの生産現場では、隣国ミャンマーから数万人単位で労働者を受け入れていましたが、今回のコロナ禍を受けて多くの労働者が帰国。
そこへミャンマーの内政不安が勃発したことで、就労ビザの更新に不確実性が伴い、生産現場の労働力が低下している状態です。
これは給湯器の製造現場のみの話ではありませんが、タイの生産能力がもとのレベルに戻るには、今しばらく時間がかかると見て良いでしょう。
マレーシア
2021年夏に1日の新規感染者数が2万人を超していたマレーシアでは、今も毎日3,000人以上が新型コロナウイルス感染と診断されています。
半導体に強みを持つマレーシアでは、夏から続く規制強化により工場の生産量が急激に低下。
部品の供給に半年程度の時間がかかるなど、給湯器のみならず自動車といった様々な業界に影響がありました。
今もコロナに対する警戒が続いており、夏からの生産遅れのしわ寄せが冬まで持ち越している状態ですので、
マヒした工場機能が復旧するのは当分先と見ています。
インドネシア
インドネシアでは、1日あたりの新規感染者数などは落ち着いており、警戒レベルも低く、大幅な活動制限はありません。
ただ、一部の工場(給湯器に関わらず)でクラスターが発生したりと、依然として警戒ムードを解く雰囲気ではないようです。
経済活動全体が本調子に戻るには、まだ時間がかかりそうといった具合でしょうか。
日本国内で給湯器の供給が先細り
冬といえば給湯器の故障が増え、給湯器業界は繁忙期にあたります。
季節柄、給湯器交換のお問い合わせは増えていますが、交換する給湯器がないため、お問い合わせに答えることができない状況です。
しばらくは、在庫を多く抱えていた大手業者が交換を請け負っていたようですが(非常に高めの値段設定でした^^;)、
その在庫も尽きてきて、いよいよ日本に給湯器がない状態になっています。
日本拠点のメーカーでも生産厳しい状況
弊社がよく扱う給湯器メーカーはノーリツとリンナイですが、この2社は早い段階から給湯器の供給が止まりました。
連鎖的にパーパスなどの他メーカーからも供給が止まりましたが、こうした流れは他の給湯器業者でも同じだったようです。
日本に多くの生産拠点を持つコロナ社が健闘していましたが、
“商品サプライヤーの生産に支障が生じているため”、給湯器製造がストップしてしまいました。
給湯器は「樹脂」「金属」「プラスチック」など様々な素材、
「電気制御」「ガス」など様々な機能を持つ部品の集合体です。
日本国内外・多くの工場・企業からの部品供給によって成り立つ製品ですから、
今回の連鎖的製造ストップは、業界にとって大きな痛手になっており、
ひいては給湯器を求めるすべてのお客様の不便・不安につながってしまっています。
「海外で作っている部品を日本で作れないのか?」という疑問も湧きますが、
作る部材の原料(樹脂など)によっては日本国内で製造できないものがあり、
臨機応変・一朝一夕で国内製造とはならないのが現実です。
給湯器供給はいつ回復するのか
あくまで2021年12月現時点で、としか説明できませんが、給湯器が元のペースで供給できるまで状況が回復するのは、2022年の夏頃になると予測されます。
それも、オミクロン株のように新種のコロナウイルスが発生して感染が拡大すれば、もっと後ろ倒しになる可能性もあります。
また、生産ラインが復旧しても、しばらくは国内で給湯器の取り合いが起こると思われますので、
給湯器交換が滞りなく行われるようになるには1年ほどかかるのでは…と不安視しているところです。
業者はもとより、お客様も待ち望んでいる給湯器の製造ライン回復。
グローバルな生産体制のデメリットが露呈した形になりますが、この難局をなんとか乗り切っていきたいものです。