ガス機器を安全に使う〜ガス調理機器の離隔距離をご存知ですか?〜
ガスコンロの周りに可燃物を置いておくと、ふとしたきっかけで火災につながることがあります。
コンロの周りに布や紙類などの燃えやすいものを置かないようにしている方は多いと思いますが、
コンロをはじめとするガス機器には「離隔距離」といって、他の物との間にとるべき距離が決められているのをご存知でしたか?
「何となく火から遠いところに物を置こう」という発想は誰しもありますが、
離隔距離が法律で決められているのは意外ですよね。
今回は、ガスコンロなどのガス機器の離隔距離についてご紹介したいと思います。
目次
ガス機器の離隔距離について
まず、ガス機器の離隔距離の概要です。
離隔距離は消防法施工令及び火災予防条例によって規定されています。
離隔距離とは、正確には
“ガス機器と「不燃材料以外の材料による仕上げをした建築物等の部分」及び「可燃性の物品」との離隔距離”
を指します。
つまり、ガス機器と、防火処理をした建築資材(壁など)や可燃物(紙・布・木など)の間に設けるべき距離ということです。
ガス機器と可燃物等との離隔距離の例
ガス機器の近くに可燃物があると、ちょっとしたきっかけで火災につながる可能性があるため、離隔距離が定められているとご紹介しました。
ここからは、代表的なガス機器と、その離隔距離についていくつか例を挙げてみたいと思います。
①ガス調理機器
まずは、最も馴染み深い調理機器の離隔距離です。
調理機器については、バーナーが露出しているタイプか、露出していない(隠ぺい式)かによって、離隔距離が変わります。
バーナーが露出しているタイプのガス調理機器
バーナーが露出している、ガスレンジのようなタイプの調理機器の場合、可燃物や建築資材との離隔距離は次のように定められています。
上方 … 80cm(可燃物との距離)・100cm(建築資材との距離)
側方 … 15cm(可燃物との距離)・0cm(建築資材との距離)
後方 … 15cm(可燃物との距離)・0cm(建築資材との距離)
前方 … 15cm(可燃物との距離)・0cm(建築資材との距離)
バーナーが隠ぺい式タイプのガス調理機器
反対に、ガスグリルやガス炊飯器のようにバーナーが露出していない調理機器の離隔距離は次のようになります。
上方 … 15cm〜100cm(可燃物との距離)・10cm〜80cm(建築資材との距離) ※調理機器の種類により離隔距離が異なる
側方 … 4.5cm〜15cm(可燃物との距離)・0cm〜4.5cm(建築資材との距離)
後方 … 4.5cm〜15cm(可燃物との距離)・0cm〜4.5cm(建築資材との距離)
前方 … 4.5cm〜15cm(可燃物との距離)・指定なし(建築資材との距離)
②ガス湯沸かし器
ガス湯沸かし器は、フードをつけない場合と、つける場合で離隔距離に違いがあります。
フードをつけない場合
まず、フードをつけない場合の離隔距離は以下の通りです。
上方 … 40cm(可燃物との距離)・30cm(建築資材との距離)
側方 … 4.5cm(可燃物・建築資材との距離)
後方 … 4.5cm(可燃物・建築資材との距離)
前方 … 4.5cm(可燃物との距離)・指定なし(建築資材との距離)
フードをつける場合
ガス湯沸かし器にフードをつける場合の離隔距離は次のようになります。
上方 … 15cm(可燃物との距離)・10cm(建築資材との距離)
側方 … 4.5cm(可燃物・建築資材との距離)
後方 … 4.5cm(可燃物・建築資材との距離)
前方 … 4.5cm(可燃物との距離)・指定なし(建築資材との距離)
③屋外にあるガス湯沸かし器
給湯器等、屋外に設置するタイプのガス機器にも離隔距離があります。
給湯器の離隔距離については、こちらの記事に詳しく書いてあるので、興味のある方は読んでみてくださいね。
④ガス機器防火性能評定品
①〜③で説明した離隔距離は、火災予防条例等により定められているものですが、
防火上安全な構造のガス機器については、特例として可燃物と近接して設置することが認められています。
例えば、卓上型コンロのようなものです。
それらは「ガス機器防火性能評定品」と呼ばれ、独自の離隔距離を持っています。
具体的な離隔距離については、ガス機器本体に貼られた設置条件のステッカーを参照することになります。
まとめ
ガス機器を安全に使うために最も考えるべきことは、火災につながらない工夫です。
離隔距離とは、ガス機器を正常かつ安全に使い、万が一の事故につながらないよう定められた大切なものなんですね。
日常生活の中でついつい油断し、ガス機器周りに可燃物を置いてしまうこともあります。
そんなとき、離隔距離のことを思い出してもらえると嬉しいです。