その設置基準で大丈夫?給湯器の離隔距離について
給湯器の周りを、普段使わない荷物などの置き場にしていませんか?
実は給湯器の周辺には「物を○○cm以上離してください」という基準があるんです!
あまり知られていない給湯器の離隔距離についてまとめてみました。
目次
給湯器の設置基準とは?
給湯器を始めとするガス器具については、安全に使用するために様々な法律に準ずる決まりや基準が設けられています。
ガス機器を設置するとき、そして普段使うときに気をつけたいのは、給湯器の周辺に可燃物を置かないこと。
給湯器の排気温度は、古いタイプのものだと200度近くなることもあり、近くに可燃物があると火災などの事故につながる可能性があるからです。
注目!給湯器の設置基準と隔離距離をチェック
では具体的に、給湯器にはどのような設置基準が設けられているのでしょうか。
上の図のように、給湯器の周囲には、数10cmの範囲に可燃物を置かないよう決められています。
給湯器を設置する業者はこの基準に基づき、周囲と安全な距離を保って給湯器を設置しているんです。
ただ、長い間給湯器を使ううちに、段々と給湯器周りに障害物(可燃物)が増えていってしまうこともあります。空いたスペースに荷物や植栽などを置きがちになるんですね。
注意!給湯器の周りに置きがちなもの
給湯器の周りに増えていきがちなものをまとめてみました。
ついつい「ここでいいや」と空いたスペースに置きがちなものです。皆さんのお宅は大丈夫ですか?
- 前方 壁、塀、隣家の壁や車などの家財、植栽など
- 側方 植木鉢、自転車など
- 上方 窓、軍手などのちょっとした小物
- 下方 植木鉢、ゴミ袋、子供のおもちゃや自転車、行楽グッズなど
どれもついつい置いてしまいそうになりますよね。
設置基準より内側に障害物があると、何が起こる?
給湯器の設置基準より内側に障害物があると、どんな支障をきたすのでしょうか。一例を紹介します。
火災
給湯器からの排気で、障害物が燃えて火災につながる可能性があります。
排気温度は排気温度の低い最新のエコジョーズ給湯器でも50〜80度、古いものでは200度近くになるものがあります。
給湯器の近くに可燃物があるのは非常に危険です。
給湯器の不完全燃焼
給湯器が給気口から十分な酸素を取り込むことができず、不完全燃焼を起こすケースです。
給湯器が不完全燃焼を起こすと、一酸化炭素が生じます。
一酸化炭素は人体に有害。めまいや嘔吐などの症状を引き起こす一酸化炭素中毒につながることがあり危険です。
給湯器の目の前に物を置いたり、給湯器を隠すためにフェンスで覆ったりすると、酸素の取り込みがスムーズにいかなくなります。
不完全燃焼を避けるためにも、設置基準内に物を置くのはやめましょう。
どうしても障害物が基準内にあるとき
建物の構造上、どうしても給湯器の設置基準内に物が入ってしまうことがあります。
例えば窓やひさし、階段の裏側が給湯器の上部・側面にきてしまうような場合ですね。
もしくは給湯器の設置箇所に余裕がなく、目の前が壁になってしまうけれど、これ以上スペースを拡げられない…というケースも考えられます。
日用品や植木などは移動が可能ですが、構造上どうにもならない場合はどうすればいいのでしょうか。
排気カバーをつける
専用の「排気カバー」をつけることで給湯器から出る排気の方向を変え、障害物の方向から逃がす方法があります。
排気カバーには、排気方向を変えるだけでなく、排気口を風雨から守る役割もあるので、給湯器の寿命延長も期待できるんです。
PS扉内設置タイプの給湯器を使う
給湯器の排気口は、横長の形状と丸型の形状のタイプがあります。
丸型の排気口は、「PS扉内設置タイプ」とも呼ばれ、集合住宅の玄関脇などにあるPS(パイプスペース)に設置される給湯器に多い形です。
ですが、なかにはマンションのベランダに丸型排気口の給湯器を設置することがあります。
なぜかというと、給湯器と窓の隔離距離を稼ぐことができるからです。
給湯器からの排気を少しでも屋内に入れない工夫がされているんですね。
まとめ
給湯器周辺のデッドスペースは物置として活用しがち。
ですが、物を置いておくことで色々なトラブルにつながる可能性があるんです。
安全に給湯器を使い続けるためにも、一度給湯器周りの環境を整えてみてはいかがでしょうか。